2020年、新型コロナウイルスで受けた観光産業への支援を目的に政府が「Go to キャンペーン」と題して、補助金を交付することになった。
過去に行われた類似の政策「ふるさと割」がどのように行われたか振り返ってみます。
「ふるさと割」とは
「ふるさと割」は2014年〜2015年にかけて行われた政府の観光支援政策の通称です。
消費税5%→8%への増税が2014年4月に行われたことによる、消費の鈍化対策として、政府が観光産業への補助予算を組んだもの。補助予算で旅行代金の補助を受けることを「ふるさと割」と呼びました。
「ふるさと割」の詳細な内容は下記の記事がわかりやすいです。一般の方のブログだと思うのですが、要点がまとまっています。
https://www.bousaid.com/2015-08-30-104851/
「ふるさと割」の商品は主に旅行代理店を通じて販売され、旅行ツアーの通常代金から割り引くことで割安なプランが提供されました。
形式上「ふるさと割」の割引券は国が自治体に配布し、自治体が旅行会社に割引券を渡し、消費者が便益を受けるというものでした。
「ふるさと割」のメリット
「ふるさと割」のメリットはなんといっても、安く旅行に行けることです。
「ふるさと割」は名産品や旅行代金に充当できるので、ツアー会社は
・名産品を食すプラン
・名湯(めいとう)に宿泊するプラン
などを割安で販売し、即座に売り切れとなりました。
「ふるさと割」の対象を満たす条件があったが、「地域産業の消費喚起」が主目的であるので、旅行に関係するものであればおおかた当てはまる。
また、旅行者にとってはアンケートを書くだけなど、手間もほとんどなかった。
これで、多い場合は数万円の割引を受けることができました。
「ふるさと割」のデメリット、問題点
旅行者にとってはいいことばかりだが、「わかりづらい」のがデメリット。
補助金が適用になる割引券は国から各自治体に配布されます。自治体や地域の観光協会が独自にホームページや広報を行い、集客することもできますが、「ふるさと割」割引券は政府が定めた期間内に利用者が集まらなければ、紙屑になってしまうため、集客・宣伝のノウハウがある旅行会社に委託するのが都合が良かった。
各自治体は大手旅行会社等にツアー販売を委託し、宿泊場所や利用レストランを決めて販売を任せることとしたのです。
そのため、消費者は旅行会社のホームページ等でしか「ふるさと割」ツアーを見つけることができませんでした。泊まりたい温泉や食べたい名産品を探してもなかなかツアーにアクセスできず、探すのが大変でした。
また、各自治体は大手旅行会社に依頼するので、実質的には「旅行会社」への補助金とも考えられるようになった。消費者に割引を還元するのだが、そのうちの何割かは旅行会社の利益となることになる。
「Go To キャンペーン」はどうなるのか
旅行会社や委託会社への利益供与や消費者にとって旅行プランのわかりづらさは変わらず残っているだろう。
消費者が特定の場所に安く行きたいのであれば、まず自治体のホームページに行き、その自治体がどの旅行会社に委託しているのかを調べて、旅行会社のホームページにツアーがアップされるのをひたすら待つということになる。
「Go to キャンペーン」のポータルサイトができればいいのだが、短期間のキャンペーンにホームページ作成にさく予算はなく、ポータルサイトができたとしたら、すぐに予約が殺到して売り切れになってしまうだろう。
(コロナの感染を恐れ、旅行需要が戻っていなければ、即売り切れとも限らないが)
「Go To Travel キャンペーン」事務局のホームページはできましたが、申込みは各旅行会社等からになります。
「Go To キャンペーン」が開始されるニュースをみたら、まず自治体の情報を見にいくといいでしょう。早い者勝ちになるはずです。
→【8月追記】実際には「Go To Travel キャンペーン」の配分は旅行会社・宿泊施設に分配されたので、「ふるさと割」とは大きく変わりました。「Go To Travel キャンペーン」にお得に行けそうなツアーの記事を載せておきます。