「Go To トラベル キャンペーン」の年末年始(12月28日〜1月11日)の一斉停止が決定しました。
菅首相の判断タイミングや、悲鳴を上げる観光産業にニュースの話題が取り上げられていますが、他にも問題点が山積しています。
ちなみに、停止期間中も既に申し込んでいる旅行であれば、割引が適用になったままになると考えています。
追加徴収できない 問題①
一斉停止の一番の問題は追加徴収ができないことです。
既に予約しているのであれば、割引された金額が支払われていることになります。
旅行代金の仕組み・支払い
2万円の旅行であれば、7,000円が割引され、13,000円の旅行代金を支払っていることになります。
7,000円の割引が中止になるわけですから、期間内に取り消しを行わなかった場合は旅行者から7,000円を徴収しなければなりません。
追加徴収を行うことに対するクレーム
追加徴収が必要ですが、旅行会社にとっては非常に困難です。
追加徴収には、「振込」「クレジットカードの支払い」「当日持参」などが考えられます。
「当日持参」は旅行会社にとってお金が入らないリスクとなりますから、事前入金が原則です。
「振込」は手数料がかかりますし、クレジットカードの引き落としを再度行う場合、個人情報の流出が怖いと考える人もいるでしょう。
対象外となることを知らなかった場合
文句を言われながら、割引がなくなった代金を払ってくれればいいですが、「当日気づく」という可能性もあります。
旅行会社はメールや電話で「事前入金」を促しますが、当日まで気づかないということも想定されます。
その場合、「割引がある」と思って旅行に出かけているので、当日に7,000円も追加料金がかかるのだったら参加しなかったということもあるでしょう。
クレームとして旅行会社が対峙するのか、旅行会社が負担するのか、国に負担させるのか。
旅行者の意見を突っぱねるという場合には「Go To トラベル」の割引が全く適用されなかったことになりますが、旅行会社や国に負担させた場合、「Go To トラベル」が適用できたということになります。
旅行会社は完全に突っぱねることが難しいとするのが私の考えです。
ツアー中止ができない 問題②
政府は「Go To トラベル キャンペーン」を中止するだけで、「旅行・出張」を全て停止するわけではありません。
つまり、割引がなくても年末年始の旅行に行きたいという人は参加できるわけです。
30名以上でのツアーを想定していた団体旅行で大半の人が「一斉停止」を理由にキャンセルをしたとしても、1人でもツアーに参加する意思がある場合、ツアーを催行しなければなりません。
「Go To トラベル」を停止しても、交通機関が止まっているわけではないので、旅行会社にはツアー催行の義務があります。
このツアーを取り消すには別の「特例」を政府が用意しなければなりません。
ただでさえキャンセルが多いこの時期の旅行会社に、赤字が決まっているツアーの催行を取り消すことができないのはあまりに「酷」です。
東京延期時は事後還付のため、後送りできた。
コロナウイルス第2波の7月頃にも「Go To トラベル」をめぐる問題はありました。
当時は東京都の感染者が増え、東京発着の旅行は9月末まで対象外とするというものでした。
この時はキャンペーンの開始を案内した数日後に、東京の除外を発表しています。
当時は旅行代金の割引ではなく、事後還付であったため、先程のような「追加徴収」の問題は発生しませんでした。
旅行会社・ホテルがどう対応をするか
首相の「一斉停止」発言で旅行会社・ホテルが対応に追われていることと思います。
旅行会社大手のHISもじゃらんも年末年始の旅行に割引が適用されています。
システム上の対応が間に合っていないためで、「Go To トラベル」政策の判断によって、割引が適用されないことがあり、その場合は追加で料金を徴収する旨、小さく記載されています。
契約書面で、キャンペーンの状況によって料金が変わる旨通知していますが、これまで述べてきたように「追加徴収」は非常に難しいです。
クレーマーに対しては、旅行会社や国が負担するということも考えられます。公的に好評はできないでしょうが。。。