宿泊予約サイトで「Go To トラベル キャンペーン」の割引率ダウンとなったのは10月初旬のことです。数日後には国土交通大臣が会見を開き、すぐに追加の予算配分を行い、元通りの割引率で予約できるようになりました。
「Go To トラベル キャンペーン」の予算額を早めに消化していたのはじゃらんや楽天トラベルなどの宿泊予約サイト。
一方で、JTBや近畿日本ツーリストなどの大手旅行会社では予算額が大幅に減っているという情報はありませんでした。
この状況から、旅行予約はインターネットで行われるようになり、大手旅行会社は「オワコン」という状況を感じました。今回の事態から、大手旅行会社の存在意義を考えてみます。
「10月10日前後の動き」旅行予約サイトに集中
割引率がダウンとなった経緯をおさらいします。「じゃらん」「楽天トラベル」「Yahoo!トラベル」などの予約サイトは10月10日前後に割引率のダウンや1人1回までの「Go To トラベル キャンペーン」割引の利用に変更しました。
理由は予約が増加して、配分されている割引予算額を全て使ってしまう懸念があったからだといいます。
一方で、大手旅行会社では予算を使い切りそうになったという話は聞きませんでした。
大手は団体やイベントが収入源
大手旅行会社はコロナ禍に値上げを行っています。ただでさえ、コロナの影響で旅行者が減っているのに、旅行代金を上げなければなりませんでした。
団体で旅行予約をして、多くの人数を動かすのが大手旅行会社の収益源です。
コロナの影響で「団体行動」が避けられていることが大打撃になっています。1台のバスに乗れる人数が減れば、その分1人あたりの旅行代金を上げるしかありませんでした。
また、大人数を動かせる「スポーツイベント」や「国際会議」なども軒並み中止となっているため、薄利多売の価格設定をすることもできません。従業員の給与や家賃は支払わなければなりませんので。
店舗があり、年収低下は困難。
大手旅行会社は店舗を多く抱えており、また従業員が多いため固定費が高いです。インターネットだけで販売している会社とは違い、小回りが効きません。
ちなみに、「じゃらん」・「楽天トラベル」・「YAHOO!トラベル」はそれぞれ、リクルート系列・楽天系列・Yahoo!系列で、旅行予約サービスは1本の柱に過ぎません。
旅行の収入がなくなっても、他の事業で収益を上げられるため、「攻め」のビジネスができます。身動きがとれなくなった旅行会社は「オワコン」と化してしまったということでしょうか。
大手旅行会社のコネクションは必要なはず
大手旅行会社がこのままなくなってしまうということはないと思います。
インターネットでは起こせない爆発的な集客を呼べる可能性が大手旅行会社にはあります。
テレビに取り上げられたレストランに人が殺到するように、
ドラマの撮影地となった場所に多くの人が訪れるように、
旅行会社が多くの資本や広告塔を使って、人を動かすことができるはずです。
ただ、広告をいっぱい出して、きれいな写真を使えば人が集まるという時代は終わっています。
また、各観光地も大手旅行会社に営業をしてプランを作ってもらえば、人が集まるということもありません。
「Go To トラベル キャンペーン」の補助金があっても、宿泊予約サイトにばかり集まることが証明されました。補助金を使っても大手旅行会社の復活はかないませんでした。
補助金も、景気も頼りにしない旅行会社の企画に期待したいですが、どうなるでしょうか。大手旅行会社に頼ってきた地方のホテルも、今後の関係を考えていることでしょう。