需要が多くなれば、高くても売れるというのが市場の原理です。コロナウイルス対策の「Go To トラベル キャンペーン」でも値段を吊り上げた便乗値上げや旅行会社による利益の中抜きは起きるのでしょうか?
旅行会社が大きく利益をとることは当然あります。本ページでは「便乗値上げ・中抜きが行われる理由」と「中抜きされない商品の見分け方」を解説します。
キャンペーンの割引に対応したツアーが販売されていますが、ホテルは適正価格で販売している印象がありますが、旅行会社はわかりやすく値上げをしています。
便乗値上げ・中抜きは当たり前にある
不謹慎と思う人もいるかもしれませんが、当たり前に旅行会社の便乗値上げ・中抜きはあります。
2万円で販売してすぐ売れるのであれば、2万5千円・3万円に上げて販売すればよかったと思うのが営利企業として当然のことです。それが国からの補助金が入っていても関係ありません。
「Go To トラベル」の予算が「paypayキャンペーン」のように早いもん勝ちの山分け方式であれば、値上げをせずに多くの人が買えるようにします。しかし、会社ごとに補助金予算額が決まっていれば、早く売り切れにする必要はありません。
期間内に全ての予算を使い切れるように、しっかり会社の利益を確保して、キャンペーンツアーを販売します。
あと気にするのは、「他のライバル会社がどのような料金に設定しているか」と「ツアーが売れるか」です。さすがに、他社と比較して2・3割高ければ、「補助金を使って、儲けようとしている」と批判を受ける可能性はあります。
実際の料金を考えた具体例
実際に、旅行代金を当てはめて考えてみます。
新幹線の移動と温泉への宿泊の1泊2日のツアーが通常3万円で売られているとします。「Go To トラベル キャンペーン」の割引を受けると、旅行代金は19,500円。さらに、4,500円の割引クーポン(地域共通クーポン)がもらえることになります。
通常3万円のツアーが2万円以下で行けて、さらにクーポンがついてくるとなれば、予約が殺到するはずです。これでは、旅行会社の旨味がありません。旅行代金を3万円から4万円に上げても、旅行客の支払いは24,000円。さらに6,000円の割引クーポンとなります。
これでも、いつもは3万円で売られていると分かれば、喜んで予約するでしょう。「便乗値上げ」というと言葉が悪いですが、補助金を利用して、旅行代金を上げることは普通に行われています。
昨年のツアー代金が調べづらい
旅行代金を値上げすると聞いたら怒る人もいるでしょう。しかし、多くの人は旅行代金(割引前)の値上げに気づきません。
基本的にインターネットでは旅行に関する過去の代金は調べることができません。JRの運賃の変化などは調べることができるかもしれないですが、普通はそこまでしませんし、旅行内容が少しでも変われば、値上げされてても不思議ではありません。
また、ホテルの代金は季節によって大きく変わるので、7月と8月で宿泊料金が5千円上がっていても簡単に「中抜き」とは判断できません。
昨年の旅行パンフレットを残しておいて比べれば値上げされたことがわかりますが、消費税の増税もあったので、単純な値上げとは判断しづらいです。旅行で毎回同じ所に行く人は多くないので、料金の高低については旅行会社に上手くコントロールされていると思っていいです。
中抜きされにくいのは旅行会社を通さない予約
どうしても「中抜き」が気に食わず、旅行会社が利益を上げているプランに申し込みたくないという場合は、ホテルに直接予約するというのが1つの方法です。(じゃらんや楽天トラベルへの予約もありです。ポイントなどで直接予約より安くなることもあります)。
あとは、他社商品と比べて、特別高くなければ問題ないでしょう。ただし、移動手段を含まない宿泊のみだと割引率が低くなります。
どれくらい「中抜き」しているか調べたいという場合は、シンプルな新幹線とホテルだけのプランを調べましょう。それが自分でそれぞれ予約したらいくらになるか。旅行会社は団体割引で2割程度は安く仕入れていると考えれば、大体の利益率がわかってきます。
旅行会社のプランは値上げ、ホテルは適正価格傾向
7月から9月頃までは感染者数が再拡大していたこともあり、旅行者がほとんど増えませんでした。また、東京発着除外や地域共通クーポン配布の開始が遅れたことも影響しています。この時期は旅行を販売してもほとんど売れていないと思います。
一方で、10月からは東京発着除外の解除や地域共通クーポンの配布開始、日本全体に旅行OKなムードが出来上がってきたこともあり、すでに年内は予約で埋まっている宿もあるようです。
宿は大幅な値上げはしていないと思いますが、旅行会社のパッケージツアーは割高になっていると思います。「密」を避けるために大人数の団体旅行を避けていることも理由にあると思いますが(通常、団体の人数が増えるほど利益率が上がるのが団体旅行です。)、あまりお得感はないと思います。
ただ、新型コロナウイルスの影響を受けているのは旅行会社も一緒なので、多少は利益をあげてもらってもいいと思いますが。