「Go To Travel キャンペーン」で東京発着が当面の間、対象外となった。それに伴い、東京発着で7/10-17に予約された旅行についてはキャンセル料を国が補填するという。
また、キャンセル料補填の方針をJATA(日本旅行業協会)が事業者向けに公表している。
https://www.jata-net.or.jp/pdf/jta/200721_jtagotocancelltinchrginfo.pdf
ニュースでは「実損相当分」が補填されると報じられているが、公表された資料にはそのようなことは書いていない。「実損相当分」の補填が検討されていただけで、確定事項ではないようだ。東京発着で7/10-17に予約された旅行に関しては旅行者からキャンセル料をもらわないということが決定している。
ただ「実損相当分」という言葉がひとりあるきしているので、言葉の意味と旅行業者への影響を解説をします。
実損相当分とは?
キャンセルによって実際に生じた金額のみのことをいいます。
実損相当分は実際に生じた食材費や事務費など
予約が入っていたために既にチケットをとっていた、提供するようの食材を準備した時の料金。また、予約からキャンセルまでに書類を送付していればその送料や、手続きを行った人件費分のことをいう。
しかし、旅行のキャンセル料では「実損分」の金額は非常に少ないことが多い。
機会損失分は含まない
通常、旅行会社がとるキャンセル料は「機会損失」分も含まれていると考えるのが普通だ。
例えば、1万円の日帰り旅行をキャンセルして、20%=2,000円のキャンセル料をもらったとする。
事前連絡があれば、食事を提供する人数の増減が可能だし、予約している観光バスの料金が変わるわけではないから、そのまま旅行会社にお金が入る。
旅行会社がただ「得」をしているわけではなく、「機会損失分」の補填をしていると考える。キャンセルがなければ、他の人が参加できた「機会」を奪ったための費用としてキャンセル料をもらっている。
実損相当分でキャンセル料の3割までという噂
噂では、実損相当分でキャンセル料の3割を最大限に補填されるという(公式な発表はなく、大まかな考えしか決まっていない。)
先程の例で言えば、2,000円キャンセル料をもらうはずだが、旅行者からはキャンセル料をとらない。その代わりに3割(600円)を上限として、政府が負担してくれるということ。
実際には「実損相当分」の計算は非常に難しい。食事の人数は直前でなければ、無料で変更できることが多い。人件費についても確実に手間がかかっているが、「その旅行の」「その対応」への具体的な金額で出すことはできない。
実態を考えれば「実損相当分」で政府が負担するということは考えにくい。
実質相当分のみの補填は旅行会社にとってマイナス
「実損相当分」を補填されるだけでは、旅行会社は損をするだけだ。
先程、説明したとおり「キャンセル料」は予約が行われて、キャンセルされるまでの間の「機会損失分」もお金をもらっている。本来、利益を上げられるはずの分をキャンセルした旅行者に補填してもらっている形。
一方、「実損相当分」のみを負担されたのでは「機会損失分」のお金が入らず、機会を損失したことになる。旅行会社にとってはマイナスでしかない。さらにいうと、計算できるだけの「実損相当分」以上の人件費や手間賃、システム利用料がかかってくる。
かといって、キャンセル料全て(旅行会社の利益になる部分)を税金で負担することも国民からの不満を受けるだろう。見切り発車のつけが回ってきているように思う。